あの日から1週間がたった夜明け前

冬獅郎は早起きな鳥達の声で意識が覚醒して行く


いつもとは違う天井が見える



どこだここ…俺は…




藍染に斬られ倒れた…







っ!!」






「えっ?!きゃあっ!」




ガシャン!!!





がばっと起き上がった勢いで、
冬獅郎の手を握ったまま寝台にもたれ
眠りそうになっていたが椅子からひっくり返る




「わりぃ!っ!お、おい大丈夫か?」



「うぅっ…は、はい…」



頭に大きな瘤を作り、よろよろと起き上ろうとして
は冬獅郎の顔に瞳を凝らし




動きが止まる








「…えっ?…冬獅郎さん…?!」





「ああ。俺だ。ん?どした?なんか変か。」




寝台から降りてを引っ張り上げた

そしていっぱいに伸びをして、動きの鈍った身体に
再び目覚めを呼び起こす




「…冬獅郎さん…。大丈夫なのですね…?」




「ああ。もう平気だ。」





冬獅郎がそう答えると、は俯いて
再びへなへなと床に座り込んで

黙ってしまった





「どうした、。お前がへ…ん…?!」





の頭を撫でながら
顔を隠した髪を掻き分けると

は息を殺し
子供のような顔で紅涙を絞らせていた







「…冬獅郎さん…よかった…よかった…元気になってくれて…」






「……。お前…。」





「ご免なさい…わたくし…冬獅郎さんが元気になったら、いっぱい笑って…
お帰りなさいを…あ、あの…すみません…」




は冬獅郎が回復するまでの
一週間床で眠る事もせずに

氷輪丸とに冬獅郎にの霊力を送り続けた


僅かに残った霊圧は、ほんの幼い子供の様で
零れ落ちると消えそうなほどだった




これほど霊圧が下がるとは…




自分が回復するために、がどれほどの
無理をしたのかは
俺の体がそれを感じて


深いため息を吐きだす






「…はすぐに泣く。」




冬獅郎はの頭をポンポンと軽く叩く



「…冬獅郎さん…。ご免なさい…。」



怒られたと思ったのか、はまた
ぽろぽろと涙をこぼす



怒ってなど居ないと
言い掛けて
様々な想いが身体を駆ける



「泣くのは…俺の前だけにしろよ?。」



「えっ…?は、はい。」



「そんな顔してっと…こうしたくなる。…だから他の男の前では絶対泣くな。」




「冬獅郎さんっ?!」





の頬を胸に寄せ強く肩を抱く




「…安心しろ。聴こえるだろ?もう心配すんな。俺は生きてる。」






お互いの温もりが伝わり少し早くなった鼓動を

今はこうしてに届けたいと、願う事が出来る





「…ええ。とても暖かい。」


儚い弱さはこれから二人で超えて行こう

帰趨はお互いに在る




「夜明けまでもう少し時間は有るな。帰るぞ。」

「だ、大丈夫なのですか?冬獅郎さん?」



「ああ、十分だ。これからが大変になるだろうな。」



「ええ…。」








朝を迎える前に





ほんの少しの時間ばかり
二人共に過ごそう

この先大きな闇を迎えても
また二人逸れる道が訪れても


俺の声がに届くように


隊主室までは俺が抱えて行ってやる



心配かけてすまなかった。






部屋に着くまで




どうか俺の腕に甘えていろと…



























以下はおまけです。






























「も…ももも…?!らんぎくっっ?!」











「?!お、おどかすなよ!俺は松本じゃねーよ!!!」


「…?冬獅郎さん、やだ、わたくしったら眠ってましたのね?」





「構わん。今日は俺が帰るまで一日寝てろ。で、松本がなんだ?っーか‘ももも’ってなんだよ!」



「乱菊に、冬獅郎さんの回復をしらせなきゃと思って!…えっとあの…桃が…」



「雛森の無事は、目が醒めた時霊圧で解った。あいつが意識を取り戻したら
 には精神面で支えてやって欲しい。」



「ええ。私に出来る限りのすべてで。今回の件は彼女が一番…深く傷ついていますもの…。」



「あーあと、松本の事は気にすんな、今から嫌でも仕事で会うからな。」



「乱菊にも…優しくして上げて下さいね。」



「またお前は他人の心配ばっかする。」




「ふふふ。あなたの許婚ですもの。」



「理由になってねーよ。それよかとにかく俺が帰るまでちゃんと寝てろ!」



「はい!冬獅郎さん…行ってらっしゃいませ。」



「ああ。行ってくる。……。」


「……?」








「…忘れ物。」






ようやくいつもの微笑を向ける

影を重ねた



頬を染めるのは二人同時。

久しぶりに日の光に当たったからか?







立ち憚るであろう壁を再び超えるため





大切なものを護る為




長く険しい道をまた走る










               



おまけは時間の都合により、ほとんど会話のみ…
ご想像にお任せします(苦笑)
とりあえず日番谷君本誌復活を祝して!







朝を迎える前に