秋桜



「冬獅郎さん」




「……ん?」




「ほら、秋桜がやっと咲きましたわ」




「…ああ」




隊主室の庭一面に
咲き始めたばかりの秋桜に囲まれ
は窓辺に佇む冬獅郎を見上げ

幸せそうに笑う




「綺麗…」






穏やかに流れる時の中
冬獅郎の目線は、遠く先を見ていた




すべてを揺るがす藍染の所為



は知っているのだろうか
いつの日かそれが

二人を憚る壁へと
為り得る

公算の大きさに






お前が危殆に瀕する時が来たなら
俺はどこに居るだろう



はまた俺を待っていて
くれるだろうか












「お帰りになった時、もっと沢山…
咲いてるといいですわね」







すべてを知り、尚

明日を見詰めて

共に生きる道のみを示す
また俺を見上げていつもの様に


笑顔を向ける



想いを共に連れて
前に進もうと、俺の背中を押してくれる








恐れる事無く

ここへ帰る為に強くあろう







揺るがない信念を胸に
心は静寂に包まれていく






「あ…冬獅郎さん。」





の声より先に
近づく裏挺隊を感じて

冬獅郎は静かに目を閉じた







「日番谷隊長に伝令です。緊急招集により、
一番隊隊舎へ至急お越し願います」




「…そうか」



冬獅郎は裏挺隊へ

振り返る事無く静かに答える



「…わかった、直ぐに行く」




裏挺隊が去った後
その様子を黙って見守っていた


冬獅郎は声をかける








「今度休みが取れたら、
二人で何処かへ出かけるか…」




「はいっ!」




喜び弾む返事に
冬獅郎は窓越しに、ふっと笑って返し
部屋をあとにする






「冬獅郎さん、行ってらっしゃいませ」






隊主室を出かけた冬獅郎に
はゆっくりと手を振って声をかけた


隊長に戻る前に


許されるならあと、ほんの少しだけ




「帰って来るまでに、どこに行きたいか
考えとけよ?」



の額に優しく口付けて
俺は走り出す








ここへ帰るために







秋桜が咲き誇る前に
















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勢いで書いた物の訳解んなくてすみません。
久しぶりの日番谷君の後ろ姿が嬉しくて
しょうがなかっただけです…